フィールドワーク&クリエーション「コトブキインサイド」

KOTOBUKI INSIDE』プロジェクトは、創造性を生かした社会包摂的プロジェクトとしてスタートしました。横浜にある寿町(日雇い労働者や生活保護受給者が多い町)にクリエイターが自ら赴き、そこで活動する人や暮らす人に出逢いながら、対話し、それぞれに合った服を作り、それを着てもらってポートレートをとるいう活動です。アーツコミッション・ヨコハマ(横浜市芸術文化振興財団) がはじめた「クリエイティブ・インクルージョン」という施策の援助を受けて2017年〜2019年に行われました。

寿町とは

横浜市中区にある寿町は、大阪の釜ヶ崎と東京の山谷に並ぶ「三大寄せ場」のひとつです。約 300㎡の小さなエリアに、日雇労働者が宿泊するための簡易宿泊所が 100 軒以上立ち並んでいます。寿地区周辺は第二次世界大戦後、1955年頃までアメリカ軍によって接収されていました。接収終了後、職業安定所が寿町に移転し、簡易宿泊所群の建設がはじまりました。これにともない、港湾労働に携わる日雇労働者が、大勢移入して寿地区が形成されました。現在では、日雇労働者は減少し、生活保護を受ける高齢者が大多数を占める街へと変化してきています。そんな決して治安がいいとは言えない街で様々な方々の協力を得てポートレートをとりはじめました。

 

【 ポートレート① 】

【 ポートレート② 】

WORKSHOP

着こなし講座

寿町でロケハンしながら一人一人の写真撮影をしていく方法では人数に限界もあるため、一度ワークショップ形式で人を集めてみようということになりました。頻繁に出入りしているうちに協力してくださる仲間が増えたことで、3回行った矢内原による「着こなし講座」は毎回満員になりました。一人ひとりと対話をしながら、その場でコーディネートをしていきました。ファッションの大事な側面として「曖昧で、不確定な、自分という存在をアイデンティファイする行為」であるということが挙げられます。寿には今でも、病気、障害、孤独、などの「見たくない現実」が山積していますが、同時に、自由、平和、絆、自分時間、なども感じることができます。現在、寿町に暮らす人たちも自分がここで暮らすとは想像していなかったと思います。出会い、偶然、事故、病気、葛藤、あるいは選択、を経て暫定的にここにいる人がほとんどです。こうして、少し凝った服をきている寿の人々の姿は、僕自身を写している鏡でもある思います。どこか縁遠いと思ってしまっている寿町の日常は、実は明日だれに起こってもおかしくない近未来の日本の風景なのです。

 

エキシビション①

中間報告として、象の鼻テラスにて展覧会を実施。実際にリメイクした服とポートレート写真のパネルを展示しました。このプロジェクトのために50着をこえる服を全てリメイクで作成しました。どこからか流れ着いた古着でおもしろいものを作ることが寿町には似合うと思ったからです。

エキシビション②

集大成として、シルクセンター1階で展覧会を実施しました。いつもお世話になっている設計事務所ABANBAのご協力で会場演出をしながら、本の出版やトークイベントの開催などを通じて、プロジェクト全体を振り返りました。

【 表紙が選べる本_協力:協進印刷 】

【 トークセッション_武部貴則・伊藤剛 】

 

【 本の中のビジュアル_河ノ剛史 】